「自分だけの同人誌を作りたい」「少部数から手軽に同人誌を印刷したい」というニーズに応える印刷所が増えています。
かつては大量印刷が一般的でしたが、現在では1冊からでも高品質な同人誌を手頃な価格で制作できるようになりました。特に初めて同人誌を作る方や、試し刷りをしたい方にとって、1冊から印刷できるサービスは心強い味方です。
本記事では、1冊から印刷可能な印刷所の選び方やメリット、注意点を解説し、おすすめ印刷所10選をご紹介します。同人誌制作の第一歩を踏み出しましょう。
同人誌を一冊から印刷できる印刷所の選び方

「自分用に1冊だけ同人誌を作ってみたい!」という思いを実現できる印刷所が数多く存在します。
初めての方でも安心して利用できるよう、印刷会社の選び方のポイントをご紹介します。
本の仕様や納期、価格など、自分の目的に合った印刷所を選ぶことで、理想の同人誌作りが可能になります。
価格で選ぶ
同人誌を1冊だけ印刷する場合、まず気になるのは価格です。印刷所によって1冊あたりの料金は大きく異なります。
例えばA5サイズ40ページの表紙フルカラー・PP加工ありの本の場合、製本直送.comなら約930円、ポプルスなら約3,848円(送料込み)と、印刷所によって差があります。
送料も含めた総額を比較検討し、予算に合った印刷所を選びましょう。
納期で選ぶ
イベント出品や期限がある場合は、納期が重要なポイントになります。印刷所によって入稿から納品までの所要日数は異なります。
例えば、さくら製本では4営業日プランがあり、入稿・支払いから届くまでが早いという特徴があります。一方、ワンブックスは1~4部の少部数では6~8週間かかるため、計画的な利用が必要です。
余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
サービス内容で選ぶ
印刷所によって対応している紙質やオプションサービスは大きく異なります。表紙用紙の種類が豊富な印刷所、特殊紙が使える印刷所、小説向けの用紙が充実している印刷所など、それぞれ強みがあります。
また、スマホだけで同人誌が作れるシメケンプリントのようなサービスや、ブックカバー付きのワンブックスなど、特徴的なサービスを提供している印刷所もあります。
同人誌専門印刷所を選ぶ
同人誌専門の印刷所は、同人誌制作における知識や経験が豊富で、初心者でも安心して依頼できる傾向があります。ポプルスやSTARBOOKSなどは同人誌専門の印刷所で、入稿ファイルのチェックや対応が丁寧です。
また、同人誌で人気の製本方法や用紙にも詳しく、サイトが分かりやすく説明されていることが多いため、初めての方にもおすすめです。
同人誌を一冊から印刷するメリット

一冊から印刷できるサービスの登場により、同人活動の幅が大きく広がりました。初心者から経験者まで、様々な目的で活用できるこのサービスの魅力をご紹介します。
試作品としての活用や在庫リスクの軽減など、一冊印刷ならではのメリットを理解し、自分の作品作りに役立てましょう。
試作品として活用する
1冊だけ印刷することで、本として仕上がった際のイメージを確認できます。「初めて文庫同人誌を作るんだけど字詰めの感じとかよくわからない…」という方にもぴったりで、校正用に1冊だけ印刷をお願いしている方も多くいます。
実際の印刷物を手に取ることで、サイズ感や文字の読みやすさ、画像の色味など、画面では分かりにくい部分を確認できるのが大きな利点です。
在庫リスクを抑える
多数印刷してしまい、在庫問題に発展するケースがあります。そのため、「まず自分用に1冊だけ刷ってみる」というのがおすすめです。
多数の在庫を抱えるリスクなく、自分の作品を形にできるため、新しいジャンルに挑戦したい場合や、需要が読めない場合にも安心して制作できます。
少部数で頒布を行う
「このセットを使うために本を出したい」と思ってしまうほどの魅力的なセットが豊富に揃っている印刷所も多くあります。友人や少数のファンに向けた頒布にも最適で、特に初めての同人活動では、大量印刷で失敗するリスクを避けられます。
また、PixivFACTORYのようなサービスでは、BOOTHと連携して注文が入るたびに1冊ずつ印刷してくれるシステムもあり、在庫管理の手間を省けます。
同人誌を一冊から印刷する際の注意点

一冊だけの印刷には数々のメリットがある反面、知っておくべき注意点もあります。単価の高さや対応可能な仕様の制限など、事前に理解しておくことで、スムーズに制作を進めることができます。
ここでは、一冊印刷特有の注意点を解説します。
単価の高さに注意する
印刷会社によって対応できる入稿形式は異なります。
最近ではデジタルデータでの入稿が主流となっていますが、紙面などアナログで原稿作成している場合は、入稿形式を重視して印刷所を選ぶこともあります。
1冊だけ印刷する場合、1冊あたりの単価は高くなる傾向があります。
特に送料込みの総額を考えると、思ったより高額になることもあるため、複数の印刷所で見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
対応可能な仕様を確認する
作りたい同人誌の仕様に合わせて対応できる印刷会社から選んでいく方法もあります。サイズ・綴じ方などを確認しましょう。
主な確認項目は、サイズ(A4、B5、A5、B5など)、綴じ方(中綴じ、無線綴じなど)、印刷カラー(フルカラー、モノクロなど)、加工方法(グロスPP・マットPP加工、ホログラム加工など)です。
入稿データのチェックを徹底する
印刷会社に依頼した後に、よくトラブルになる要因が「注文サイズと入稿した原稿サイズが合わない」ことです。サイズが合わなければ印刷ができませんし、場合によってはデータの再作成・再入稿などが必要になります。
データ作成時や入稿前に忘れずに確認しておきましょう。他にも文字の配置や塗り足し、フォントの埋め込みなど、細かいチェックが必要です。
同人誌を一冊から印刷できる印刷所10選

実際に1冊から印刷依頼できるおすすめの印刷所をご紹介します。それぞれの特徴や料金体系、対応サービスを比較し、自分の目的に合った印刷所を見つけましょう。価格やサービス内容、納期など、様々な角度から10社を厳選しました。
ブックレットルーム
ブックレットルームは1冊から印刷可能な印刷所で、無線綴じ製本と中綴じ製本に対応しています。
A4、A5、B5、B6など多様なサイズに対応しており、特に同人誌印刷サービスに力を入れています。データ入稿は12:00までが当日扱いとなり、入稿された日から最短3営業日での発送が可能です。
また、納期に余裕がある場合は「早割メニュー」を利用でき、10営業日以降の納品を選択すると合計金額から10%割引になるというお得なサービスもあります。
使いやすいウェブサイトと明確な料金体系で、初めての方にもおすすめの印刷所です。
製本直送.com
1冊から格安で同人誌が作れる製本直送.comは、発送も早くて「自分用の1冊」にぴったりです。
料金体系が明確なのも魅力のひとつ。基本料金99円〜+ページ価格2円〜+綴じ加工代(中綴じ:44円、無線綴 :165円)+オプション代(ラミネート加工、遊び紙、お急ぎ便など)を基に、製本サイズやカラー、用紙の種類によって最終的な価格が決まります。
とにかく早い!安い!印刷きれい!と三拍子揃った印刷所で、サイズは定番のA5から文庫・新書・B6なども選べるので、迷ったらとりあえず使いたい印刷所です。
ワンブックス
「1冊から印刷できるといえばワンブックス」と有名な印刷所です。一般的な同人印刷所では「部数が多くなれば単価は安くなる」システムですが、ワンブックスは1冊でも100冊でも単価が変わらないため、少部数に強い印刷所として定評があります。
「4色オンデマンド印刷機を使用するため、カラーもモノクロも金額は同一」という画期的な料金体系を採用しています。ブックカバーまで付けられる点も魅力的なサービスです。
シメケンプリント
シメケンプリントは、スマートフォンのみで小説同人誌を作成したい方に特におすすめの印刷所です。他のアプリケーションを使用せず、シメケンプリントのサイトだけで小説同人誌が制作可能です。
執筆した文章を貼り付けると適切に本の形式に変換してくれるPDFメーカーや、扉や奥付も自動で作成してくれるツールが用意されています。
原稿作成の知識がない方やパソコンをお持ちでない方でも、シメケンプリントを利用すれば同人誌を出版することができます。
オレンジ工房.com
オレンジ工房は期間限定で開催されるセットが多数揃っている印刷所です。
定番セットも多種多様な種類があり、初心者は逆に迷ってしまうかもしれません。
一番スタンダードな「表紙フルカラー×本文モノクロセット」はA5、B5、文庫サイズに対応。表紙は4種、本文用紙は4種(文庫サイズは2種)から選べます。
STARBOOKS
オプションを追加して豪華な本もシンプルな本も制作できるSTARBOOKSは、印刷の美しさ、サイトの分かりやすさ、丁寧な対応で評価の高い印刷所です。
1冊だけ作成する場合は割引を活用して入稿するのがおすすめです。箔押しの種類が非常に豊富で、現在100種類以上が用意されています。
特徴的なのは1日ごとに設定できる早割「毎割」で、締切が早ければ早いほど割引額が大きくなります。
ポプルス
ポプルスは印刷品質と製本の完成度が高く、特にイラスト関連の同人誌制作者から支持を集めている印刷所です。価格設定も比較的手頃で、多くの方に利用されています。
表紙カラー・本文モノクロの「スタンダードセット」、および表紙・本文ともにカラーの「本文フルカラーの本」など、すべてのセットが1冊から注文可能となっています。特に少部数で多ページの本を作成したい方に最適な印刷所といえるでしょう。
グラフィック
印刷通販大手の「グラフィック」が運営する同人誌印刷部門「コミグラ」は、同人誌印刷だけでなく、アクリルキーホルダーなども1個からの注文に対応しています。
同人誌印刷では、オンデマンド印刷で1冊から注文が可能です。カラー印刷の鮮やかさに定評があり、フルカラーのイラスト集などの印刷で多くの利用者から支持を得ています。
紙材料に関心のある方には、約160種類の取り扱い用紙をまとめた「ペーパーカタログ」が参考になるでしょう。
PixivFACTORY
PixivFACTORYは、同人誌を1冊から制作できるサービスで、在庫を持たずに販売することも可能です。
A5、B5、A6、B6、A4の5種類のサイズに対応し、ページ数も表紙4ページを含めて8〜300ページまで幅広く選択できます。
本文印刷はモノクロとカラーから選択可能で、綴じ方向も左綴じと右綴じに対応しています。1冊660円(送料別)からという手頃な価格設定も魅力です。平日朝9時までの注文で最短10営業日での発送に対応しています。
さくら製本
「表紙に色上質紙を使って1冊だけ印刷したい」という需要に応えるさくら製本は、価格設定と選択可能な用紙の種類が魅力的で、印刷品質も優れています。
表紙に使用できる色上質紙は28色あり、書店で販売されている一般的な小説のような文庫本制作にも適しています。
入稿から支払い、配送までの処理速度が非常に速いことも特徴です。締切間際まで原稿作成に時間をかけたい方にも対応可能な印刷所です。
同人誌を一冊から印刷する費用を抑えるポイント

同人誌の印刷費用を少しでも抑えたい方のために、コストダウンのポイントをご紹介します。各印刷所のキャンペーンや割引制度、用紙選びのコツなど、賢く費用を節約する方法を知って、効率的に同人誌制作を進めましょう。
割引やキャンペーンを活用する
印刷所によっては、お得なキャンペーンや割引がある場合があります。STARBOOKSでは最大値引き7,800円と大きな早割「毎割」があります。
計画的に原稿が出来る人にはかなり嬉しいでしょう。各印刷所では早割や期間限定のキャンペーンを実施していることが多いので、SNSをフォローするなどして最新情報をチェックしておくと良いでしょう。
安い用紙を選ぶ
表紙や本文用紙によって料金は大きく変わります。特に表紙の特殊紙や厚紙、本文のカラー印刷は費用がかさむ傾向があります。初めての同人誌制作では、標準的な用紙を選ぶことで費用を抑えることができます。
また、本文をモノクロにすることも大きなコスト削減になります。各印刷所の基本セットや定番プランは、コストパフォーマンスが良い組み合わせになっていることが多いです。
繁忙期を避けて依頼する
イベント前や印刷会社の繁忙期によっては納期が変わる可能性もあります。制作スケジュールと照らし合わせながら、こまめに確認しておくとよいでしょう。大きな同人イベント前は印刷所が混み合い、特急料金が発生することもあります。
イベント開催日から逆算して、余裕を持ったスケジュールを組むことで、追加料金を避けることができます。また、早めに入稿することで早割を利用できる印刷所もあります。
まとめ:同人誌は一冊から印刷依頼できる
一冊から印刷できる同人誌印刷所10選をご紹介しました。印刷物には様々な知識が必要です。各印刷所には特徴があるため、自分の目的や好みに合った印刷所を選ぶことが大切です。
まずは「自分用に1冊だけ」から始めて、同人誌制作の楽しさを味わってみてはいかがでしょうか。